容量が大きいだけじゃダメ!ドローンの動画撮影に適したSDカードの選び方を徹底解説します。

4K撮影対応ビデオカメラやドローン、スマートフォンでも高画質の撮影ができるようになった昨今、記録メディア(SDカード)選びに頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか?

イヌさん
どれを買っても一緒じゃないの?
アザラシさん
取り敢えず大きい容量でいいや!

なんて思ってる方は大間違い!

実は、SDカードには様々な種類があるのです。

容量の大きさや値段の安さだけで購入してしまうと、痛い目を見てしまうかもしれません。

今回はややこしいSDカード規格をできるだけわかりやすく解説しながら、実践的な選び方を提案します。

動画撮影に適さないSDカードとは?

まずは問題です。

あなたは今、”DJI Mavic Air”を持っているとします。

最高画質で20分間連続で撮影したい場合、この中で”撮影に向いていないmicroSDカード“は一体どれでしょうか?

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正解は…

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そう、実はどれも向いていないのです。

これらはすべてAmazonから抜粋した商品ですが、どれもランキングに載っていたものなので、特に理由を考えずに買ってしまいかねませんよね。

容量が256GBもあるカードですらチョイスしてはいけないなんて・・・。

その理由を、じっくり解説していきます。

ビットレートについて知ろう!

動画撮影のためのSDカードを購入する際に、最も気をつけなくてはいけないことはなんだと思いますか?

最大容量ももちろん大事ですが、最も重要なのは「書き込み速度」

カメラから転送されるデータ量に対してSDカードの書き込み速度が追いつかなくなると、なんと撮影が自動停止してしまう恐れがあるのです。

仕事などの重要な撮影の場合などは、これは非常に重要な問題です。

1秒間に転送されるデータ量“のことを”ビットレート“と呼び、単位は bps/bit per secondと表されます。

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bpsのpは分数のことなので「b/s」として記載されることもあります。

単位のルール
bit(ビット)は小文字でb、Byte(バイト)は大文字のBで表記されます。

皆さんが耳慣れているであろうデータ量の単位1バイトは、8ビット。

8bit=1Byteというこの関係は、しっかりと覚えておきましょう。

Mavic Airの公称スペックによると、「最大画質時UHD(ほぼ4K)/30fpsでは100Mbps」となっています。

これはつまり、1秒間におよそ100メガビットのデータ量を転送しているということになりますね。

ビットだと考えにくいので、8で割ってバイトに変換すると、12.5MB/s=1秒間におよそ12.5メガバイトの速さで転送することになります。

先ほどのSDカードたちがおすすめできない理由は、実はどれもこの書き込み速度に対応できない可能性があったからなんです。

ちなみに先ほどの問題文には、Mavic Airの記録ビットレートが書かれていなかったので少しいじわる問題でしたが、実際には自分の使っているカメラの記録ビットレートは事前に理解しておく必要があります

さて、Mavic Airの最高画質が100Mbpsということがわかったところで、一つの答えがでますね。

20分連続して撮影した場合、

100Mbps × 1,200s(20分)=120,000Mbps
120,000Mbps ÷ 8(バイトに変換)=15,000MB/s→15GB/s

つまり撮影総データはおよそ15ギガバイトという予想がつきます。

なので、先ほどのおススメできないSDカードの一番小さい16GBでも、容量だけで見れば実は充分に撮影ができてしまうのです。

しかし「容量足りるじゃん!」と思って安易に買ってしまわないように。

SDカード選びは書き込み速度が最も重要なポイントです!

SDカードの表示規格について

SDカードの選び方が、表示されている容量ではなく、書き込み速度である、ということがわかりましたが、ではその書き込み速度はどうやって見分ければよいのでしょうか?

それはSDカードに書いてある表示規格から判断することができます。

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ここからは、SDカードの表示規格について一つずつ紹介していきましょう。

表示規格① 容量別のカテゴリーについて

SDカードにはSD、SDHC、SDXCなどの表示がされていますよね。

これは、容量別のカテゴリーを示しています。

SD(2GBまで)、SDHC(32GBまで)、SDXC(2TBまで)の順に、新しい規格となっています。

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SDHCでは容量が32GBまでという限界があったのですが、SDXCは理論上、2TBのものまで製造ができるそうです。

最近はSDXCが主流になっているので、非対応の機種はそうそうありませんが、発表当時の2010年ほど前の機材を使われている方は、SDXC非対応の場合が多いので注意が必要です。

表示規格③ スピードクラスについて

SDカードには「スピードクラス」と呼ばれるマークが数種類記載され、カードを選ぶ際の大切な指標になっています。

SC(スピードクラス)

スピードクラスとは基本的に最低速度を保証する数値の指標になっています。

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従来からよく目にするこの円形のマークは、様々な規格の中で一番古い速度基準で、その数字から一目で保証速度がわかるようになっています。

かつては「スピードクラス4」「スピードクラス6」のものを用途に応じで選び分けていたのですが、今の時代は10MB/sの転送速度を保証する「スピードクラス10」の対応機器が当たり前になり、わざわざ下位クラスのものを購入する必要はなくなってきていす。

“C10″が記載されている場合、最低保証速度は10MB/s(80Mbps)と判断することができます。

「Mavic Air最高画質のビットレートは12MB/s」ですから、このC10では記録に求められる速度を保証することができないことがわかりますね。

 

UHS(ウルトラハイスピードクラス)

旧スピードクラスに次ぐスピードクラスがUHS(ウルトラハイスピード)と呼ばれる規格で、現在のSD速度規格の主流となっているマークです。

新しくカードを購入する場合は、このマークを基準にしてするといいでしょう。

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Uの形に数字が書かれていますが、これはその数字に対応した最低速度を保証します。

U1なら10MB/s(80Mbps)U3なら30MB/s(240Mbps)ということになります。(U1とU3以外は2018年現在では存在しません。)

2011年頃に発表されているので、その前後の機器はUHSに非対応の可能性がありますので、お持ちの機器を確認してください。

ちなみに、プロのカメラマンによく使われている一眼レフカメラのCanon EOS 5D markⅢ(2012年発売)は、業界では未だにかなりのシェアと信頼があるにもかかわらず、リリース時期的にUHSには非対応です。

同じ最低保証速度の規格が併記?

旧スピードクラスとUHSの最低保証速度の二つがあることをご紹介をしました。

不思議なことにU1とスピードクラス10は同じ最低保証速度なのに、その二つが併記されているSDカードをよく目にします。

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これらの併記には2つ理由があります。

まずひとつ目は、同じ最低保証速度でも旧スピードクラスと違って、UHSには非常に高速な最高転送速度(理論値)が設定されているため。

UHSはバージョンに分かれていて、2018年現在の段階ででUHS-Ⅰ、UHS-Ⅱ、UHS-Ⅲの三種類があります。(UHS-Ⅲが最速)

SDカードのラベルにはⅠやⅡの表記がされており、どちらにもU1かU3の最低保証速度があります。

UHS-Ⅰの最大転送速度は104MB/s(832Mbps)、UHS-Ⅱは312MB/s(2496Mbps)とされており、環境によってはその速度による転送が行われる可能性があります。

ちなみにUHS-Ⅱは物理端子が2列に並び、いかにも転送が早そうな見た目です。

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2018年現在ではUHS-Ⅲは登場したばかりで、UHS-Ⅱの普及も価格的にまだまだプロ仕様といったところです。


併記されているもう一つの理由は、UHS非対応カメラでもUHS搭載SDカードを差し込んで記録すること自体は可能であり、その際には旧スピードクラスで最低保証速度が適用されるという仕組みのため。

つまり「UHS非対応機器でも旧スピードクラスで記録はできますよ」という意味を表しています。

旧スピードクラスとUHS自体に互換性はないのですが、基本的には両者が併記されることにより、UHSに対応しない古い機器でも事実上互換があるように使えるのです。

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例えば30MB/sの保証速度が期待できる「U3/C10」と併記されてあるカードを、やむなくUHS非対応のカメラで使用する場合、スピードクラス10基準の10MB/sに制限されてしまいます。

ちなみ冒頭の質問で並んであった6枚のSDカードを改めて見て下さい。

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すべてC10、UHSには対応していますが、実はどれもU1規格(無表記もある)だったのです。

最高速度はC10のみより期待できるにしても、依然最低保証速度は10MB/sなので、Mavic Airの最高画質ビットレート12MB/sを保証するには至っていません。

…と、ここまでこの記事を読んでいただいた方はもうお気づきですよね。

この質問の答えを満たすSDカードの規格は「U3」が表記されているもの、だということです。

U3は30MB/sを保証するので、このマークがついていれば確実に撮影を続けることが可能です。

市場ではU1より価格が高いのが難点ですが、大事な撮影では背に腹はかえられません。

ビデオスピードクラス

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ここまで旧スピードクラスとUHSのお話をさせていただきました。

この時点でもすでにややこしいのに、実はもう一つ新規格が登場してしまったのです!

それがビデオスピードクラスです。

SDカード規格を決めているSDアソシエーションの方針で、昨今のスピードクラスの混在を解消するために、このビデオスピードクラスに統一しわかりやすい表示にしていくそう。(せっかく覚えたのにUHSなどもなくなってしまうかもしれません。笑)

近年ビデオカメラだけではなくスマートフォンの動画撮影も高ビットレートになっているので、途中で記録が停止しない安全を保証する情報表記が求められていました。

Vの横に書かれた数字は、対応している最低速度保証を意味します。

V30なら30MB/sということですね。

旧スピードクラス、UHS-Ⅰ、UHS-Ⅱそれぞれの速度に準じた表記が、ビデオクラスとして適用されています。

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ビデオスピードクラスには2018年4月現在 V6、10、30、60、90があり、V6とV10は旧スピードクラスとUHS対応機器で速度が保証されます。

V30はUHS対応機器で速度が保証されます。

V60とV90はUHS-IIおよびUHS-III対応機器で速度が保証されます。

V60とV90は新しい保証領域なので特殊ですが、V30までは基本的には従来の規格を説明し直しているに過ぎません。

先ほどMavic Airの最高画質ビットレートを満たす最低保証速度の規格は「U3」だということが判明しましたが、ビデオスピードクラスV30が記されているカードが、同じ意味の保証となります。

SDを購入する際にビデオスピードクラスの表示があれば、製造時期として新しいこともあるので、積極的に選んでも構わないと思います。

2018年4月現在でV60、V90を搭載したSDカードはまだあまり流通していません。

数十万円以上する機材でもない限り、こんな桁外れの高ビットレートで撮影する設定は備わっていないので、転送速度60MB/s、90MB/sの恩恵を受けることはほぼありません。

今後劇的にカメラ技術が進歩しない限りは、一般的なカメラユーザーが恩恵を受けるビデオクラスは、V30(240Mbps)までが主流になるのではないでしょうか?

【余談】
100万円~規模になるDJI Zenmuse X7を例に挙げると、最高画質では6K映像が撮影できますが、そのビットレートはなんと4.7Gbpsになります!
4.7Gbpsは588MB/sなので、実はX7の6K撮影では、SDカード最高規格のビデオクラスV90(90MB/s)でも圧倒的に書き込み速度が追い付かないのです。
しかしX7を装着する本体DJI Inspire2には「NVMe(次世代の接続インターフェース)規格のSSD」を装着することができ、かなりの高ビットレート撮影にも対応し、6Gbps(理論値)でSSDに保存できるようになっているのです!
(そもそもこのクラスのカメラになると、最高画質をSDカードで保存すること自体、技術的に不可能なんですが。笑)

表示規格③ アプリケーションパフォーマンスクラス

これはあまり気にしなくてもいい規格ですが、一応紹介しておきましょう。

microSDにはここ最近、A1というマークがついている商品が増えてきました。

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これはアプリケーションの速度保証に関する表記で、スマートフォンや携帯型ゲーム機のアプリケーションの読み書きに対応します。

今回は詳しいことは割愛しますが、まだ普及し始めたばかりの規格なので体感できるほどの恩恵はまだないと思います。

今後はアプリケーションパフォーマンスクラス2の普及が予想されているので、そちらに期待しましょう。

表示規格④ SDラベル最高速度表記について

繰り返しますが、スピードクラスは基本的に最低速度を保証するものです。

しかしSDカードをよく見ると、露骨に転送速度らしき数字が書かれてあるものが多いですね。

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この表記は、あくまでUHS-ⅠやUHS-Ⅱを基準にした理論値の最高速度です。

最低保証速度でもなければ、それに近い速度が常に発揮されるわけでもないので、注意が必要です。

また画像右のLexar製品によくある表記が、元の基準も説明しないのに「倍速」で最高速度を煽ってくる場合もあります。数字が大きいので確かにもの凄く速そうな印象を受けますよね。

実はこの基準、CDの等倍書き込み速度150KB/sを1倍とした表記で、「600倍」と記してあっても、計算するとそれはUHS-Ⅰの最高速度である「90MB/s」と同じことなのです(現にラベルにもU1が表記されていますね)

 

「タウリン1000mg配合!!」のキャッチコピーでお馴染みの商品が、実は「タウリン1g配合!!」と言っているのと同じことですね。数字が大きいとついついつられてしまいがちです。

写真の連写なら最高速度の恩恵は受けやすいですが、動画撮影は場合によっては最低速度付近の転送が続くことも考慮しなければなりません。

撮影したい記録ビットレートが12.5MB/sだとして、予算がないからという理由でU1規格(10MB/s)を購入し、「UHS-Ⅰの最高速度100MB/s」をなんとなく期待したとしても、無情にも記録が止まるときは止まります。

失敗したくない撮影に臨むときは、最高速度に惑わされず最低速度保証は絶対に守りましょう。

ドローンとSDカードの組み合わせ例

動画撮影を想定し、機種別に最高画質・最長飛行時間で撮影したい場合、最低限おさえたいSDカードの速度規格をご紹介します。

DJI Phantom 4 Pro

最高画質
Cinema 4K:4096×2160 24/25/30/48/50/60p→約100Mbps(12.5MB/s)
  • 最低でもUHS-Ⅰ U3 もしくはV30が記載されていればOK
  • 30分の撮影でおよそ22.5GBが予想される→購入する容量は32GB

DJI Mavic Air(航続20分として)

最高画質
4K Ultra HD: 3840×2160 24/25/30p→約100Mbps(12.5MB/s)
  • 最低でもUHS-Ⅰ U3 もしくはV30が記載されていればOK
  • 20分の撮影でおよそ15GBが予想される→購入する容量は16GB

まとめ

ここまで規格のことをお話ししました。

最高速度や最低速度保証など、ややこしい言い回しが多いのが難点ですが、カード選びはとにかく、自身の撮影する設定のビットレートを知ることから始まります。撮影後の編集や撮影当日のことを想定し、画質設定はどれくらいで、何分撮影するか?これを考えれば最低限必要なスペックの記録メディアは計算できます。

容量だけを見て適当に買ったSDは、いつ転送がパンクして記録が停止するかもわからない不安とともに撮影することになります。

正しく計算したメディアを使って、余計な心配をせず安心して撮影を行いましょう!

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